長野市青木島の公園「青木島遊園地」で遊ぶ子供の声がうるさいと、「一人の苦情で公園が廃止になった」と報道されている問題。しかもそれが大学名誉教授であり、「上級国民への忖度で子供が犠牲になった」ともされているが、実は18年間、公園を見直して欲しいと行政や児童センターと「戦い」続けていたのは名誉教授の奥さんだった。しかも、そこに長野県民気質があり、苦情ではなく「住民運動」だったのだという。
男性は昨年3月に国立大学を退職
今回の問題は、2004年4月に地元から要望を受けて開設された「青木島遊園地」が、この18年間ずっと苦情に晒され来年3月31日をもって廃止される、というもの。第一報は地元紙の信濃毎日が12月2日に報じた。ただし、「苦情は一部の近隣住民から」となっていた。同紙は「子どもの声がうるさいから公園が廃止…それでいいの?」と疑問を呈した。これが全国的な大議論に発展。ウエブサイト「NEWSポストセブン」が6日、
「1人の声で、子供の遊び場である公園を閉鎖した市の対応」
と書き、「その男性は昨年3月に国立大学を退職し、名誉教授となった」としたことで、人物特定が行われ激しい批判に晒されることになる。
実は苦情、公園が設置された18年前から続いている。当時は1日50人ほどが公園で遊んでいた。公園の隣にある児童センターが管理していたことで、苦情は子供がうるさいことだけではなく、子供を送迎する車のアイドリング(エンジン音)、自宅の敷地内にボールなどが入り、庭が踏み荒らされることもあった。不思議だったのは、当時大学教授だった男性が公園を監視し、市や児童センターに逐一クレームを入れる時間と余裕はあったのか、ということだ。児童センターは苦情に対応し、入場口を変更したり、アイドリング禁止の看板を出したり、植樹で子供の遊び場を限定したり、雲梯(モンキーバー)の移動をするなどをした。
「危険人物」ポジションに変化?
「デイリー新潮」は14日、名誉教授の180分にわたる反論記事を配信した。それによると、この18年間騒音ストレスに耐えながら「戦ってきた」のは、名誉教授ではなく奥さんなのだという。「一軒からのみの苦情」とも言われるが、隣の家は日中不在。名誉教授は土日しか家にいない。そんな名誉教授は昨年3月に大学を退職。自宅にいる機会が増えたため「こんなにうるさいんだ」と気付いた。それで児童センターに相談に行った。「5人ずつ分けて遊ばせてはどうか」との提案に対し館長から、「代わる代わるなんてできるわけない」と言われた、と書いている。となると、「危険人物」と囁かれている名誉教授のポジションが少し変わって来る。そして今回の騒動は、長野の県民性にとって苦情やクレームというよりも「住民運動」と捉えた方が正解なのだそうだ。
それこそ子供に教えるべきこと
作家の青沼陽一郎さん(54)は「JBpress」に13日、「長野の公園廃止騒動、『子どもの声うるさい』と言った住民は批判されるべきか」との記事を書いた。長野市で生まれ育った青沼さんは、「いかにも長野らしい話だ」とした。オウム真理教支部や風俗店開業を「住民運動」で解決してきた。今回は一人、一軒とされているが、長野県民らしい「住民運動」と考えられるという。
「『たった1軒なのだから文句を言わずに我慢しろ』というのは乱暴な話」
18年間を耐えながら、長きにわたり改善を訴え続け、その意思がやっと通じた。そして市も合理的な判断に踏み切った。こうしたことを評価する声がもっと挙がっていい。
「相手の立場や気持ちを汲み取り、理解する力に尽きる。それこそが、大人が子どもたちに教えなければならないことのはずだ」
と青沼さんは書いている。
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(リンク)
デイリー新潮「長野市公園廃止問題の名誉教授が180分にわたって反論」
https://www.dailyshincho.jp/article/2022/12141131/
JBpress「長野の公園廃止騒動、『子どもの声うるさい』と言った住民は批判されるべきか」
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/73092
信濃毎日新聞「子どもの声がうるさいから公園が廃止…それでいいの?」
https://www.shinmai.co.jp/news/article/CNTS2022120200129
NEWSポストセブン「『子供の声がうるさい』と意見したのは国立大学名誉教授 市役所は忖度か」
https://www.news-postseven.com/archives/20221206_1819893.html/2