アサヒビール不買運動の火消しなのか、アサヒグループホールディングスは2021年6月23日午前に「大会組織委員会へ酒類提供を見送るように提言を行った」との声明を発表した。
オリンピック大会組織委員会が同日午前10時、大会会場での酒類の提供はしない、との発表を受けてのもの。22日午後にはメディアの取材に対し、酒類提供については「コメントする立場にない」としていた。いったい何がどう変わったのか。
アサヒが五輪会場での販売をゴリ押し組織委が忖度?
今回の流れを整理すれば、オリンピック組織委が大会会場での酒類販売を検討している、との報道が22日午前に報道された。21日は組織委の橋本聖子会長が記者会見で、酒類提供の可能性を匂わせていた。ネットでは、店舗に酒類提供の規制をし、国民に我慢を強いている中で、オリンピックを優遇するのか、という批判が起きた。そして丸川珠代五輪相が記者会見で、
「大会の性質上、ステークホルダー(利害関係者)の存在がある。それを念頭に置いて検討されると思う」
と語り、その記事が22日午後1時過ぎにネットに出ると、「ステークホルダーというのはアサヒビールだ」となり、アサヒが酒類販売をゴリ押しした、組織委がアサヒビールに忖度した、といった憶測が広まった。アサヒは各社の取材に対し、
「正式に発表されていないのでコメントする立場にない」
と回答したが、「ハフポスト日本版」のような一部のメディアは、「アサヒビール『コメントできない』」などとおかしな見出しを付け(ネット上では偏向記事と批判)「犯人」はアサヒ、のような煽り方をしたため、アサヒに批判が殺到し、大きな不買運動がネット上で起きた。
アサヒグループHDに取材しての回答は?
アサヒが23日午前に出した声明は、
「大会組織委員会の酒類提供見送りの決定を支持する・昨日、酒類提供容認の報道を受け、当社から大会組織委員会へ酒類提供を見送るように提言を行った・新型コロナウイルス感染拡大防止の観点や、多くの飲食店での酒類提供が制限されている状況において、今回の意思決定は当然のことと考える。・引き続き、大会組織委員会と連携し、大会の成功を支援していく」
というもの。ネット上では22日の「コメントする立場にない」と「大会組織委員会へ酒類提供を見送るように提言を行った」の差が大きすぎると話題になっている。不買運動の火消しなのではないか、との憶測もある。NNJニュースはアサヒグループホールディングス広報に23日、話を聞いた。
SNSでの騒動が影響したかは答えられない
まず、組織委に酒類提供を見送るよう提言したのはいつなのか、不買運動があったからなのか、については、
「酒類販売を認める可能性があることを22日に報道で知り、申し入れを行いました。そして本日の午前10時の組織委の発表を受け、こうしたコメントを出しました」
とした。22日の何時に組織委に申し入れたのかは言えないという。酒類提供は辞めた方がいいと考えたのはいつか、については、
「大会で酒類を提供するのは私どもが直接ではなく、各企業やお店の方々になります。そうした方々に私共は販売する(卸す)わけですが、それは現在、酒類の提供を規制されている取引のある飲食店の方々と同じです。オリンピックだけ特別扱いはできないという考えです」
ネット上で「組織委に販売許可をゴリ押しした」という憶測についても同じように商取引上、道義的にはできないものだ、という。
メディアの取材に「コメントする立場にない」ではなく、「大会組織委員会に見送るよう提言した」と答えれば、こうした不買運動のような騒ぎにならなかったはず、と聞くと、
「あの時はあくまで組織委から正式な発表が無く、どうなるか分からない状況ですので『コメントする立場にない』としか答えられませんでした」
とした。不買運動などネットでの騒で、今回の声明を出さざるを得なくなったのか、との問いには、
「SNSなどネットでの騒ぎが影響したのかどうかについては、答えることができません」
ということだった。
(リンク)
アサヒグループホールディングス公式HP