愛知県知事リコール署名の偽造事件。起訴されたリコール活動団体の田中孝博事務局長(60)と大村秀章愛知県知事(61)が繋がっていた、との説が出ている。ジャーナリストの須田慎一郎さん(59)は2021年6月30日、ネット報道番組「虎ノ門ニュース」に出演し、前回の出演で「大村知事を(リコールで)辞めさせるわけにはいかない」と田中事務局長が言った、ということに「罠」を仕掛けていた、とした。2人の繋がりを否定する人たちをあぶり出したという。
「別室あるでしょ、ここに居たんですよ」
須田さんは「虎ノ門ニュース」(5月31日放送)で、リコールの会事務局の専従職員に聞いた話として、こんな話を紹介していた。事務局長は夜の遅い時間になると毎晩電話で、
「いや~、そんな、大村知事にお辞め頂くわけには参りませんからね」
と言っていた。電話は事務局長室で掛けられ、職員は別室でドア越しに聞いていた。事務局長が事務長室を出る際に職員が居ることに驚き、
「おっ、おおぅ、お前いたのか、ご苦労」
と言った、という内容だった。6月30日放送の「虎ノ門ニュース」で須田さんは、あれは「罠」だった、と明かした。話した内容は取材に基づく「事実」だが、田中事務局長と大村知事の繋がりを否定しなければならない人が出て来る。案の定ネットには、
「あの事務所に別室は無く、須田の発言は嘘だ」
といった書き込みがダーッと出た。須田さんは、
「バカだねぇ、そういうねぇ、情報を拡散する人はねぇ」
と語り、事務所の間取りの写真を出した。
「別室あるでしょ、ここに居たんですよ」
とし、2人の繋がりを否定する人たちのあぶり出しに成功したという。続いてジャーナリストの大高未貴さん(52)が、2人の繋がりを検証した。
河村市長を選挙で落とすための嘘の発言
大高さんは「文芸春秋」(2021年5月号)の、大村知事が河村たかし名古屋市長を糾弾する記事を紹介した。4月25日には名古屋市長選があり、大村知事が押す横井利明氏(60)の勝利を訴えている。そして4月21日、事務局長が唐突に記者会見を開いた。大高さんは、
「河村市長を貶める嘘の発言をしたわけですよ。12年前のリコール(河村市長が行った名古屋市議会リコール)で、河村市長が不正署名を集めたかのような。間接的に大村サイドの候補者を擁護したわけです」
さらに繋がり疑惑として、事務局長は愛知県に1憶円の「借金」がある、とした。それは県の施設の入札に成功したもののカネが工面できず、違約金1憶円を要求されている、というもの。事務局長の入札には大村知事の秘書が関わっているともされる。
「問題は、落札したのが6年前。時効まで4年。いまだに違約金を払っていない。なぜ払わないのか」
先の大村知事が河村市長を糾弾する「文芸春秋」の見出し、「愛知県知事リコール『不正署名』黒幕は誰か?」に指を刺し、
「ひょっとしたらブーメランになるのでは?、という気がしないわけではない」
と大高さんは笑った。
署名偽造は署名が集まらなくてしたのではない
須田さんはボランティアへの取材で、事務局長は最初から「二正面作戦だ」ということが分かった、とした。リコールを成功させる気は一切なく、ボランティアに対し署名用紙を送らないなどの妨害工作をした。
ところが、日本維新の会からの衆院選出馬が予定されているなどし、それなりに数を集めた実績がなければ面子が立たない。今回の「二正面作戦」は田中事務局長一人でやれるものではないし、「大きな黒幕」がいるのではないか。
「当初は署名が集まらなかったため署名偽造をした、とされていましたが、しかしそうではなかった。田中は全部ばらす訳にはいかない、という状態なのだろうが、現在起訴中で、警察も検察も追及を続けて行くことになる。我々も取材を引き続き行っていく」
と話した。
(リンク)
「虎ノ門ニュース」(2021年6月30日放送分)