朝日新聞は2021年7月10日、「『不自由』展 暴力に屈することなく」と題した社説を掲載した。「表現の不自由展」とは19年8月1日に開幕した美術展「あいちトリエンナーレ」の展示枠の一つで、「検閲」によって不適切とされ、展示を拒否されてきた作品を集めたもの。それが今年は各地での開催が予定されていて、東京では展示施設所有者が混乱を恐れたため延期に。名古屋では爆竹と脅迫文が入った郵便物が届いたとして事実上の中止となった。朝日新聞は社説で「自由な展示を保証するために何をすべきか」と訴えた。
抗議が殺到しテロ予告まであった「不自由展」
「あいちトリエンナーレ」の「表現の不自由展・その後」を巡っては19年8月2日、河村たかし名古屋市長が大村秀章愛知県知事に対し、
「どう考えても日本人の、国民の心を踏みにじるもの。行政の立場を超えた展示が行われている」
と中止を求めた。抗議電話の殺到やデモ、テロ予告などがあり、8月3日に中止が決まった。津田大介芸術監督は「不自由展」について、
「過去に暴力的に封印された作品を集め、封印された是非を考えていただくことを目的とした」
「表現の自由が形式的にだけではなく、実質的に保障される社会を目指している」
と語っていた。実行委員会は「不自由展」再開を名古屋地裁に申し立て、主催者の愛知県側と和解し、10月8日から展示が再開された。展示推進側「表現の自由」を求め、文科省前などで「不自由展を再開させよう」というデモが行われている。
表現の自由が侵されると社会はどうなるのか?
朝日新聞は7月10日の社説で、各地で開催予定の「私たちの『表現の不自由展・その後』」について取り上げた。
東京で開催予定だった同展は、民間ギャラリーの所有者がトラブルを恐れて取りやめ・延期になった。名古屋では7月6日に開催されたものの、爆竹のようなものと中止を求める郵便物が届いたため、事実上の打ち切りとなった。大阪では7月16日の展示開始を前に、街宣車による抗議活動があり、「安全の確保が困難」と府が府の施設利用を取り消そうとした。ところが大阪地裁が、集会の自由、表現の自由の大切さを説き、「具体的な危険性があるとまでは言えない」とし、府の利用取り消しを覆した。朝日新聞の社説は、
「表現の自由とは何か。それが侵されたとき、社会はどうなるか。一人ひとりがいま一度考えを深める機会にしたい」
「(名古屋展中止の原因は)暴力的な行為に及んだ送り主だ。展示作品を批判する自由はもちろんある。しかし表現には表現、言論には言論で対抗するのが鉄則ではないか」
「公共施設の価値が問われる(中略)民主社会を守る側に立つか、結果として壊す側に手を貸すか。『公』が担うべき役割は何か。自治体の姿勢が問われる」
と結んだ。
「いっそ朝日か毎日が協賛してやればいいのに」
一方で、施設利用を取り消しが覆された大阪府の吉村洋文知事は、9日の記者会見で、貸し出すセンターには保育所や就業支援施設があり、なぜ乳幼児がリスクを背負うのか、施設の貸し出しは府の裁量の範囲内だ、と反論した。産経新聞は9日、こんな記事を配信した。吉村府知事の会見では、毎日新聞の記者2人が8分以上に渡り、代わる代わる「何が起きるか分からないという理由は」「利用承認を一度出したことの評価は」などと質問を繰り返した。
「最後は吉村氏もたまりかねたのか、『それだけ表現の不自由展を推すんだったら、毎日新聞の会議室を使ったらどうなんですか』と言い放つ場面もあった」
と書いている。
こうしたことに関してネットでは、
「毎日新聞の会議室を使ったらどうなんですか?朝日新聞の会議室を使ったらどうなんですか?民団の会議室を使ったらどうなんですか?みんなが思っていること」
「いっそ朝日か毎日が協賛してやればいいのに」
「もう朝日毎日なんか読んでるのはこんなの喜ぶ奴だけって事だわな」
「朝日や毎日の恥部を大々的に見せつける表現の自由展をやるべきだ」
といったことが書き込まれている。
(リンク)
朝日新聞社説
「『不自由』展 暴力に屈することなく」
https://www.asahi.com/articles/DA3S14968668.html?iref=pc_rensai_long_16_article
産経新聞「『毎日新聞の会議室使えば』と吉村知事『不自由展』開催決定に不服」
https://www.sankei.com/article/20210709-H4LALIG6URP2NAMVBL4YTDLTFM/