福島県の小学生が育てた朝顔が、オリンピック球場から遠い場所に大量に放置され、枯れている、とネットで騒ぎになった。東京オリンピックの女子ソフトボール競技1日目が行われた2021年7月21日の「福島あずま球場」でのこと。選手を応援する「めざせ金メダル!!」「選手の皆さんがんばれ!」と鉢一つ一つに付けられたメッセージが虚しい。
しかしこの朝顔の陳列、東京オリ・パラ組織委が肝いりで進めたプロジェクト。これが事実ならば大変なことだ。
「こんな悲しい写真を子供たちに見せられない」
福島県は7月10日、「福島あずま球場」での試合を無観客にすると決めた。有観客での「お・も・て・な・し」の目玉の一つは福島県の小学生が育てた朝顔で、その数は720鉢。球場の外周、球場内に置かれ、選手や観客を涼ませ和ませる計画だった。しかし、写真にある空き地に置かれた大量の朝顔は、用無し状態。水も与えられずに萎れ、葉が黄色くなり枯れている、ように見えるものもある。写真を見た人たちから、
「福島県民として、これはとても許し難い!!こんな扱い受けると分かってたら子供たちもその親達も提供なんか拒否しただろうに」
「我が子の小学校でも朝顔を送り出しました。種を植え、成長観察を絵に書き、肥料をやり、こまめに水やりをしていました。花が少し咲いたところで送り出したので、花が種になるまでの観察のチャンスを逃しています。こんな悲しい写真見せられない」
「これって教育的?子供に聞かれたらなんて答えればいいのですか?発案者教えてください。写真の応援メーセージがせつない。理不尽極まりないの学習ですか?」
などといったことがTwitterに書き込まれた。
地元テレビのニュース番組を観てみると、、、
ところが、である。写真をよく見てみると奥に球場があり、その手前に白く長い棟のようなものがある。実はこの棟のようなものは有観客だった場合の観客の通行道で、入場口に繋がる。地元テレビの「テレビュー福島」や「日テレニュース24」を見ると、朝顔が置いてある場所はチケット販売窓口の前だった。ここに展示されている朝顔は720鉢の一部。2局のアナウンサーは共に、朝顔の紹介から始まり、福島県民の様子を伝え、最後は朝顔の紹介で終わった。つまり組織委は、アナウンサーがニュースを伝える場所としてチケット販売窓口を指定、そこに今回の「お・も・て・な・し」の目玉、朝顔を配置しPRした。ただし、朝顔を猛暑の中に長時間設置していたため、夕方には朝顔がヘタってしまったということのようだ。
第二ゲートにびっしり展示、選手を「お・も・て・な・し」
NNJニュースが7月22日、「福島あずま球場」を運営する福島県あづま総合運動公園に話を聞いてみたところ、朝顔の手配から設置、装飾まで全て組織委がやっているため詳細は分からない、としながら、
「無観客になったことで、せめて選手に朝顔を見てもらおうと、球場から陸上競技場、プレスルームに抜ける通路(第二ゲート)にびっしりと朝顔を展示していました。選手たちも喜んで見ておられたようです」
と明かした。
ちなみに、サンケイスポーツは22日の「【現場で見た五輪】小学生がお・も・て・な・し」の記事で、
「無人のスタンドから階段を降りると、福島の人々のおもてなしの気持ちがズラッと並んでいた。ソフトボールの開幕戦が無観客で行われた福島県営あづま球場。2階コンコースには、福島市内の小学生が育てたという720個もの朝顔のプランターが置かれていた」
と書いている。
(リンク)
「テレビュー福島」(朝顔のニュース)
https://news.yahoo.co.jp/articles/49eb00aa745761
「日テレニュース24」(朝顔のニュース)