居酒屋終了の時代へーーー外食大手のワタミは、居酒屋「和民」、「坐・和民」「ミライザカ」「三代目鳥メロ」といった直営店120店舗全てを2022年3月期末までに「焼肉の和民」に業態転換する。これはワタミの全店舗の30%にあたり、直営ではないフランチャイズ店舗の業態転換も検討している。

居酒屋業界は2015年以降苦戦を強いられてきた。若年層のアルコール離れ、働き方改革による残業の減少、飲み会自体がレジャーの選択肢から外れるなど時代背景の変化がある。一方で焼き肉はファミリー客が利用するなど需要は落ちてはいない。ワタミはここに目を付けたわけだが成功するのだろうか。

 

「お酒を飲む場所」から「ご飯を食べる場所」への転換

 

居酒屋市場は相次ぐ多店舗化で飽和状態にあり、低価格競争で凌いできたものの、若者のアルコール離れや、仕事帰りに会社の同僚と一杯、といったニーズが減少している。そうした中で起きた新型コロナウィルス禍によって居酒屋は2020年4月に休業を余儀なくされた。ワタミは4月~5月にかけ、売り上げが最大92.5%低下した。

 

日本フードサービス協会によると、居酒屋業界は8月になっても売上高は前年同月比57・7%減となっていて、回復が遅れている一方で、焼き肉業界は同95%まで回復している。

ここに目を付けたのがワタミで、直営の居酒屋は全てやめて焼き肉店「焼肉の和民」に業態転換する。22年3月期末までに直営だけで120店舗の「焼肉の和民」が誕生し、フランチャイズを含め5年後には400店舗にする計画だ。

 

出店する場所は郊外になり、家族連れや女性をメインターゲットにする。これは「お酒を飲む場所」から「ご飯を食べる場所」への転換を意味する。

1号店は「『焼肉の和民』大鳥居駅前店」で、東京都大田区西糀谷に10月5日にオープンした。ここがフラッグシップ店となり、料理配膳ロボットを稼働させ、料理を運ぶ「特急レーン」を設置することで、従業員との接触を80%少なくしている。オリジナルのブランド和牛「和民和牛」を使っていて、看板メニューは「ワタミカルビ」の税抜き390円。食べ放題のコースは、2,880円、3,480円、4,380円と3種類ある。

熾烈を極めた「居酒屋チェーン戦争」から完全撤退を目論むワタミだが、果たして吉と出るか凶と出るか。そして居酒屋チェーン業界の今後はどうなるのか、まだコロナ禍は続いている。

 

(リンク)

YouTube「watami channel」