山口県阿武町の住民、田口翔容疑者(24)が誤送金された4630万円をネットカジノで使い込んだとし、電子計算機使用詐欺の疑いで逮捕された問題。これについて「無罪」を主張する人たちが現れている。

逮捕するため無理やりでっち上げた

実業家の西村博之(ひろゆき)さん(45)が2022年5月20日に配信したYouTubeチャンネルで、

「誤送金の持ち逃げは法律上、違法とは書かれていない」

と解説した。例えばネットで一個注文したのに同じ値段で二個届いたり、コンビニでレジを通し忘れる商品があったりする。店員が返却を要求した時点で既に食べ終わっていた場合、即逮捕はおかしいし、今回誤送金したのは町役場。つまりは町役場と田口容疑者がやり取りすべき民事上の話し。

「警察が動いたり、逮捕したり、刑務所に入れるべきことではないと思う」

と語った。世の中は逮捕されて当然、刑務所で償えという意見が大勢を占めるが、それは4630万円を手に入れ使い込んだ田口容疑者への「嫉妬」だとした。「電子計算機使用詐欺」というのは、

「逮捕するために無理やりでっち上げた罪であり、法律の恣意的運用です。中国と変わらないと思うんですよね。法治国家であることを否定していることになる」

とした。実はひろゆきさんのこの主張、裏付けのようなものを弁護士の郷原信郎さん(67)がブログで綴っている。

まともな裁判所の判断なら、無罪判決

「郷原信郎が斬る」の5月20日付けに「“4630万円誤振込事件”、『電子計算機使用詐欺』のままでは無罪」が書かれた。内容は、そもそも同詐欺罪は「電子計算機に虚偽の情報若しくは不正な指令を与えて」というものであり、田口容疑者はそのようなことはしていない。

「まともな裁判所が判断すれば、無罪判決は避けられない」

ただし、町民の財産と知りながらネットカジノで全額費消したと述べる「悪辣な輩」に、刑事処罰ができないのはあまりにも社会常識に反すること、とした。それで探したのが田口容疑者を追い詰めるための法律。2011年に改正された刑法96条の 2の「強制執行妨害目的財産損壊等罪(強制執行妨害罪)」ではないか。これは、誤振込された口座からネットカジノの口座に振替えたことが「強制執行を妨害する目的」と認定できる可能性がある。ただし、誤振込されたものが殆ど即時にカジノで費消されたとすれば「隠匿した」とはならないため、同罪は成立しない。検察官は、同条1号にある「強制執行を妨害する目的で、強制執行を受け、若しくは受けるべき財産を隠匿し」を念頭に、事実関係を明らかにし、同罪の成否について法律面、事実面両方から、検討する必要がある、と郷原さんはブログに書いている。

 

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(リンク)

ひろゆきYouTubeチャンネル(37分頃から誤送金の話題)

https://www.youtube.com/watch?v=A7RWaPjfNc8

「“4630万円誤振込事件”、『電子計算機使用詐欺』のままでは無罪」郷原信郎さんの5月20日付け「郷原信郎が斬る」

https://nobuogohara.com/