「ちくわ(竹輪)」が売れている。ドラッグストアの売れ行きランキング上位に入っている。コロナ禍のなか、生魚より保存も利いて手軽にたんぱく質が取れる、など健康に気を遣う人に好まれている、というのは業者側の説明だが、実は、子供にせがまれ大ヒットアニメ「鬼滅の刃」の竈門禰豆子(かまどねずこ)のコスプレ用に、両親や祖父母が買っている、そういう一面がある。
竹輪をくわえるだけで禰豆子になれる!
調査会社「株式会社True Data」の「ドラッグストア、食品スーパー伸長カテゴリ」によると、2020年11月の全国ドラッグストアの前年売り上げ伸び率ランキング5位が「竹輪」で24.5%増だった。同9月は3位で32.3%増。同7月は6位で26.4%だった。
「竹輪があれば『禰豆子』になれる!」そんなことがネットで騒がれ出したのが今年4月頃から。インスタグラムやツイッターに、禰豆子のコスプレをして竹輪をくわえる幼い少女の写真が出回った。モデルでタレントの藤田ニコルさん(22)も竹輪をくわえ、禰豆子のコスプレを4月16日にツイッターで披露した。ここまで衣装にこだわる必要もなく、竹輪をくわえるだけで禰豆子になれると子供たちの間で広まった。
「娘のために緑の竹輪を作って」と頼まれた
世界で初めてカニカマを開発したという石川県七尾市の「スギヨ」は、「鬼滅の刃」ファンの子供がいる母親から「娘のために緑の竹輪を作ってほしい」と頼まれた。つまり「禰豆子の竹」を竹輪で作って欲しいというものだった。生産には1ロット(竹輪10000本)が必要であり、業績リスクを伴うためクラウドファンディングを募ることにした。目標は50万円だったが、332人が参加し80万2000円が集まり10月16日に募集を終了し製造したところ問い合わせが殺到した。
高知市の老舗かまぼこ店「土佐蒲鉾」も「スギヨ」と同様の要望から独自に「竹ちくわ」を開発、11月に販売を開始した。他県からもこの「竹ちくわ」を買い求める客が来るなど大人気になっている。地元紙「高知新聞」が11月12日に配信した記事には、同店が児童養護施設「子供の家」に「竹ちくわ」45袋を贈ったことが紹介されていて、7人の子供たちが竹輪をくわえている写真がアップされた。
「子どもたちは早速、ちくわを口にくわえ『禰豆子になった気持ち!』と喜んでいた」と記事は結んでいる。
(リンク)
株式会社True Data
株式会社土佐蒲鉾
http://www.tosakamaboko.co.jp/
株式会社スギヨ
https://www.sugiyo.co.jp/