動画配信ネットフリックス(Netflix)は2020年10月20日(米国現地時間)に2020年第3四半期(7月~9月)決算を発表した。これについてNHKや共同通信といった大手メディアは「加入者の伸びが鈍化」と表現した。確かに第1期、2期と比べれば4分の1程度の220万人の増加であり、当初目標の250万人を下回ったわけだが、、、

 

NHKや共同通信など大手メディアが「伸びが鈍化」と報じる

 

第3四半期(4月~7月)の売上高は前年同期比23%増の64億3563万ドル(約6800億円)、純利益は19%増の7億8997万ドル(約827億円)で、全世界の新規有料視聴者数は220万人増え、1億9515万人になった。220万の新規有料視聴者のうち46%はアジア太平洋地域が占め、アジア太平洋地域の収益は昨年比で66%増を記録した。ちなみに日本の有料視聴者数は19年9月に300万人だったものが今年の9月1日で500万人を超えた。

決算を見る限りでは好調な推移に映るが、NHKや共同通信といった大手メディアは「加入者の伸びが鈍化」と報じた。理由は新型コロナウィルス感染を避けるために自宅で過ごす「巣ごもり」ブームが一巡したことと、Amazon(アマゾン)などの他社の動画配信サービスとの競争が激化しているため、と説明した。

 

今後何年も大きく成長させることができる分野なのです

 

確かに数字だけで見ると「加入者の伸びが鈍化」という表現は間違いとは言えないが、いわゆる飽きられた、競争に飲まれた、というのとは異なる。それまでの伸びが「異常」過ぎたのだ。20年第1四半期(1月~3月)の有料視聴者数は前年比15%増の1570万人。第2四半期(4~6月)は当初予想していた750万人を上回り1010万人増えた。1期と2期の新規の合計は2580万人で、これは2019年全体の新規有料視聴者2800万人に拮抗する。3期の予想は250万人増で、それを下回り220万人という結果になった。

ところが、である。Netflixは決算発表などで何度も20年の3期以降、有料視聴者数が伸びないことを報告していた。それは1期2期の伸びが急すぎて、

「20年の後半で獲得する予定の層まで前倒しになっている」

というのだ。さらに、コロナ禍で有料視聴者数が急増したわけだが、逆にNetflixはオリジナル作品の制作現場が止まってしまった。Netflixは日本でいえば「全裸監督」などのオリジナル作品をキラーコンテンツとして提供、その国の有料視聴者を一気に増やす戦略だ。それが一部の国を除いて日本を含め全世界で収録が困難になっている。つまり、制作現場が動き出せばまた有料視聴者獲得のための新しい種が撒ける、ということになる。

Netflixは第3四半期の新規有料視聴者が予想を下回る220万人だったことについて、こうしたコロナ禍の状況の中でそれほど意味のある数字ではない、とし、

「我々のサービスを向上させることで今後何年も大きく成長させることができる分野なのは間違いがない」

と説明している。

 

(リンク)

ネットフリックス公式HP

https://www.netflix.com/jp/