人気沸騰中の音楽ユニット「YOASOBI」のボーカルikuraさんこと幾田りらさん(20)が、細田守監督(53)の映画最新作「竜とそばかすの姫」(7月公開)で声優に初挑戦すると報じられると、「シロウトは使うな!」「声優から仕事を奪うな!」とあちらこちらで「炎上」する事態になった。

ikuraさんが嫌い、というわけではない。「初挑戦」という言葉に反応しているのだ。一方、ikuraさんファンは活動の幅が広がることを大歓迎していて、ikuraさんの声優起用を反対している人たちとSNS上でバトルを展開している。

「自分の作品のクオリティを落として汚すのか」

ikuraさんが「竜とそばかすの姫」で声優に初挑戦すると報じられたのは2021年5月7日朝。すると、Yahoo!ニュースのコメント欄(ヤフコメ)がとんでもないことになっているとネット上で話題になった。例えばオリコンが報じた「幾田りら、細田守監督『竜とそばかすの姫』でアニメ声優&本格的な演技初挑戦」と言う記事には、昼過ぎまでに1300を超えるコメントが付いた。そこには、

「声優さん以外を起用してなにかメリットがあるのだろうか?なぜ、自分の作品のクオリティを落として汚すのか、理解できない」

「アニメとかでアイドルや俳優が声優の物真似するのやめてもらいたい。作品が台無しになることがある」

といった批判ばかりが書き込まれ、その批判に応戦する返信が大量に書き込まれた。

「声優じゃ話題に欠けるからお願いしてんだよ」

細田監督のアニメ制作会社「スタジオ地図」の公式Twitterにも苦情のtweetが多数寄せられた。

「誇るべきことに『声優』という職業形態が成り立っているのは、日本だけ。プロの声優さんに仕事振り分けましょうよ!客寄せパンダばっかりじゃないですか」

「声優さんを起用してください。お願いします。。。せっかくお金払って大画面で観てるのに棒読みとかお金返してって言いたくなるほど俳優陣の人達は酷いです」

などが書き込まれた。

ikuraさんファンと思われる人たちは、

「声優だけじゃ話題性に欠けるからYOASOBIさんにお願いしてんだよ」
「いくらさんの声は特徴あるから『本業こそソロ含め待ってるよ』と思いつつも、期待しちゃう」

「いくらちゃんは可愛い。それだけで何でもいい」

などと応援している。

有名タレントを声優に起用するのは「映画の宣伝」

この日発表された「竜とそばかすの姫」の声優キャストは4人。ikuraさん以外に成田凌さん(27)、染谷将太さん(28)、玉城ティナさん(23)と全員が声優ではない。だからこれほど荒れたようだ。ただし、細田監督はもともと人気俳優を起用することで知られているため、既定路線のキャスティングともいえる。

数年前にテレビアニメに若手の俳優やアイドル歌手を起用する動きがあり「セリフが棒読み」だと激しい批判が出た。このところそうした有名人の起用は減った。ただし、映画に関しては、声優ではないタレントの起用は当たり前のようになっている。

NNJニュースが以前、映画関係者に取材したところ、声優ではない有名人の起用は、映画への注目度を高めるのが目的だと話した。一番大きいのはメディアへの露出。テレビ、新聞、雑誌などの取材が声優だけを起用した場合とは比べ物にならないほど入る。

「とにかく多方面から取材が入ります。それは無料でCMを流せるようなもの。支払うギャラは声優さんより何倍も何十倍になることもありますが、『宣伝費』と考えています」

ということだった。今回のikuraさんの起用は7日だけで複数のテレビ番組を含む数多くのメディアが取り上げている。「宣伝」と言う意味では大成功となっている。

(リンク)

YOASOBI – 群青(THE FIRST TAKEチャンネル)

https://www.youtube.com/watch?v=NyUTYwZe_l4