人気声優の神谷浩史さん(46)がテレビ番組に出演し、声優ながら歌手としても大人気で、1万枚のコンサートチケットが即完売する、と紹介されると神谷さんは「(歌は)大っ嫌いですね!」と返答した。

実は神谷さん、声優は作品の「歯車」であり裏方に徹するべきで、「本当は人前に出たくない」という考えの持ち主。そしてこの発言をするたびファンを悲しませてきた。

お客さんが来てくれる以上はちゃんとやらなきゃ

神谷さんが出演したのは2021年5月7日放送の「中居正広のキンスマスペシャル」(TBS系)。この日は2時間スペシャルで、声優の事務所としては国内最大手の青二プロダクションに所属する声優24人が出演した。番組では神谷さんを「日本声優界のエース」と紹介。声優としてだけでなく歌手としても大人気で、1万枚のコンサートチケットが即完売する。そしてコンサートのVTRが流れた。中居正広さん(48)が神谷さんに、

「歌は好きですか?」

と聞くと、

「大っ嫌いですね。僕はホント、歌得意じゃないです。嫌です。でも、お客さんが来てくれる以上はちゃんとやらなきゃと思って努力しますけどね。それだけです」

と答えた。

声優と言えば今やアイドルそのもの。CDを出し、写真集を出し、イメージDVDなども発売する。テレビや、実写ドラマ、コンサート、イベント、CMにも出演する。これは時代の流れであり、声優に求められるものが多くなっている。

「人前に出たくない」とファンを悲しませた

神谷さんは1975年1月28日生まれで、高校時代に演劇に触れ役者を目指し卒業後に進んだのが青二プロダクションの声優養成所・青二塾だった。当時はもちろんマルチな活動をする声優はごく一部。神谷さんが目指してきたことはコンサートや舞台などではなかったため、ラジオなどで「人前に出たくない」「声優だよ?(コンサートなど)ライブをするなるなんて思ってもなかった」と発言。神谷さんをどう応援すればいいのか、ファンを悩ませ悲しませてきた。

神谷さんはNHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」(2019年1月7日放送)にも出演し、同様の事を発言している。

それは、

「(舞台に出るのは)嫌ですよ。向いてないから声の仕事をしているのに。なんで人前に身を晒さなきゃいけないのか、よく分からないですよ」

「主は作品にあるべきだと。(声優は)その作品を作るうえで必要な存在。理想としては自分の気配を消して、作品の一個の歯車に徹すること」

というものだ。

それではどうしてコンサートや舞台、テレビなどに出演しているのか。

声優の現場が好きだから居続けるための努力

ターニングポイントは 2006年8月7日のオートバイ事故。「ハチミツとクローバー2」のアフレコに行く途中で転倒して入院。心肺停止になりかけ1か月もの間意識が無かった。そして気が付くと、たいしたドタバタはなく、自分が担当する役を別の声優がしっかりとやっていた。そこで気が付いたのは、

「自分の代わりはいくらでもいる」

ということだった。そして思ったのは、

「どうしたらいいかわからないけれど、この業界(声優)にすがらないと生きていけないかもな。なんとなく仕事が来るのを待っている状況だったけれども、(業界にすがるためには)自分から動かなければ」

だった。

番組で神谷さんは「僕らは日雇い労働者だ」と語った。オファーがなければ収入はゼロ。声優の現場が好きだから、そこに居続けるための努力をしている。その努力は自分に自信が無いところからも来ていて、不安は仕事を始めたころからずっとあり、安定は一切ない。

「求められればどんな仕事でもやる」

それが声優としての神谷さんの生き方なのだそうだ。

 

(リンク)

青二プロダクション公式HP

https://www.aoni.co.jp/

 

NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀 声優・神谷浩史の仕事 答えを求めて、声を探す」

https://www.nhk-ep.com/products/detail/h24106AA

 

「プロフェッショナル 仕事の流儀 声優・神谷浩史の仕事 答えを求めて、声を探す」(YouTube動画)

https://www.youtube.com/watch?

v=ZF76ZeqgIjU&t=1500s