朝日新聞がまた恣意的な記事を書き誤報を流した、と中山泰秀防衛副大臣が吠えた。系列のネットニュース「AERA dot.(アエラドット)」の記事のこと。五輪の開閉式ディレクターだった小林賢太郎さんが、過去のユダヤ人大虐殺を扱ったコントが発見され解任された問題で、中山副大臣が政府に報告するという順番を無視し、独自に米ユダヤ人人権団体「サイモン・ウィーゼンタール・センター」に直接チクったことで、混乱と炎上が拡大した、という内容。中山副大臣は「チクるどころか人権団体は既に知っていて、私は被害を最小限にするために動いていたのだ」と説明した。

ユダヤ人大虐殺ネタ炎上混乱したのは中山副大臣が元凶?

「「AERA dot.」の記事は、「東京五輪開催も菅官邸はガバナンス崩壊 中山防衛副大臣が『炎上』の元凶」(2021年7月23日配信)といもの。小林さんの解任について政府が協議したのが22日朝、中山副大臣が人権団体と連絡を取ったのが22日未明だった。こうした政府のちぐはぐな対応が混乱と炎上に拍車をかけ、中山副大臣が炎上の元凶だ、とした。

実はこのニュース、ネット上では22日に話題になっていた。経緯は、中山副大臣に対し「早期に解決させた方がいいのではないか」との要望がTwitterに寄せられた。これが22日午前1時頃。中山副大臣は直ぐにそれに反応し、

「早速サイモンウィーゼンタールセンターと連絡を取り合い、お話をしました」

とtweet。そして午前3時頃、エイブラハム・クーパー副所長の、

「どんなに創造的であっても、ナチスの虐殺の犠牲者をあざける権利はありません。ナチス政権は障害を持つ人々をもガス処刑した。この人物と東京オリンピックとの関係は、600万人の無実のユダヤ人の記憶を侮辱し、残酷な嘲笑をパラリンピックで引き起こします」

との抗議文をTwitterに上げた。これが2時間の間に行われ、ネット上では、「抗議文を出すよう動いたのか?」「外務省やJOCも通さず、直で団体に告げ口した」「オリンピックを潰したい勢力に利用されたのでは?」といった中山副大臣批判に発展した。

パラリンピック前に問題が発覚すれば絶大なダメージ

中山副大臣は、23日配信の文化人放送局「渡邉哲也show」に出演。朝日新聞「AERA dot.」の記事は誤報だと語った。まず、「チクリ」説、「独断行動」説を否定。緊急事態だった、とした。Twitterで要望を受けた中山副大臣は、小林さんについて調べると既に「炎上」状態になっていることが分かった。米人権団体に知られるのは時間の問題であり、オリンピックを守りたい、抗議によるダメージをコントロールして極小化したい、という思いがあった。時計を見たら米国は午前9時過ぎ。普段から付き合いのあるクーパー副所長に電話を入れたという。中山副大臣はその時のやり取りについて、

「あぁヤスヒデ、それは20分前に連絡があって知っているよ。いま、ステートメント・サイモンで準備しているところだ、とおっしゃったんです。だから私が通報者だとか、密告しているとか、ちょっと待ってくれよと。あと情報漏洩だとか、情報漏洩の前にネットに全部書かれていること、公開情報ですから」

と語った。さらにクーパー副所長からは「パラリンピック前でよかった」と言われたという。ナチスドイツは、遺伝子の優位性を証明するため障碍者を集めまくり人体実験をして殺害した。開会式の後、そしてパラリンピックでこの問題が浮上したとしたら、東京五輪が受けるダメージは絶大なものになっていた、と語ったという。中山副大臣は、米ユダヤ人人権団体が出した抗議文の中で障碍者に関することが抑え気味に書かれていたのは、自分の手柄だったと言いたげな表情だった。

 

(リンク)

文化人放送局「渡邉哲也show」2021年7月23日

https://www.youtube.com/watch?v=nlUchApjW_s

 

「AERA dot.」の「東京五輪開催も菅官邸はガバナンス崩壊 中山防衛副大臣が『炎上』の元凶」(2021年7月23日配信)

https://dot.asahi.com/dot/2021072300018.html?page=1