東京都がNHKの報道は「誤報」だと激おこだ。NHKの対応から「誤報」というより恣意的な印象操作、世論誘導ではないか、との疑いも出ている。

NHKは東京オリ・パラのボートとカヌー競技場「海の森水上競技場」に「かき殻被害」が出た。令和4年度に国際大会を誘致できない、赤字が膨らむ、と報道した。ところが、同競技場は現在改修中で、全面オープンは令和5年。つまり「かき殻被害」も現在改修中で、国際大会はもともと令和4年度の計画に無いのだという。

対策完了まで国際大会の誘致は難しい?

これはNHKが2021年12月14日の昼に首都圏で報じた「五輪ボート会場 装置に『かき殻』で 国際大会誘致困難」というニュース。現在は「NHK NEWS WEB」で読むことができる。内容は、波をおさえる「消波装置」にかきの殻が付着していて、除去と付着を無くす対策に1年余りかかる。都は、1年間で国際ボート連盟が主催する国際大会を1回、そして、国内の大会を14回、誘致することを目指しているが、

「対策完了までの間は国際大会の誘致が難しくなっています」

とした。同競技場は300億円かけて整備され、都は年間の収支について、現時点でおよそ1億5800万円の赤字となると見込んでいる、というもの。このニュースに驚いた都は、オリンピック・パラリンピック準備局の名前でNHKに同日、抗議文を送った。

令和5年に全面開業と国際大会開催を隠す

抗議文には、令和4年度にプレオープンはするがそれは競技場の一部であり、改修工事があるため初めから国際大会を行う計画は無い。「消波装置」が無くても大会ができることは国内競技連盟(NF)も了解していて、令和4年度には現時点で6件の国内大会を予定している。全面開業後の令和5年10月には国際大会の「カヌーアジア選手権大会(スプリント)」を開催する予定であり、その前に「消波装置」の問題は解決させる、というもの。つまりNHKは、予定された改修工事中に国際大会が開けない状況を「国際大会誘致困難」と煽り、その改修の一つ「消波装置」のかき殻被害をクローズアップ。令和5年に全面開業し、国際大会が開かれるのを隠して報道したということになる。東京都議会議員の川松真一朗さん(41)は、12月16日に自身のYouTubeチャンネルを更新。この問題に触れ、東京都がNHKに抗議文を出すのは異例のことだとし、

「カキの殻があろうがなかろうが、もともと令和4年は国際大会をやる予定が無いんですよ。令和5年度には国際大会やって盛り上げようという話しをしているのに(NHKは)全く聞く耳を持たない。印象操作というより、世論誘導ですよ」

などと怒っている。NHKが誘導しようとしているのは「海の森水上競技場」は、赤字垂れ流しの無駄な施設、という印象のようだ。報道の表面上は競技場の赤字や被害、これまでの計画などの「事実」を並べ納得させようとし、目的とする場所へ誘導するために不都合な「真実」は隠す、という形だ。

 

(リンク)

NHK NEWS WEB「五輪ボート会場 装置に『かき殻』で 国際大会誘致困難」

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211214/k10013387581000.html

川松真一朗TV「【NHK 五輪ボート施設偽装報道】悪質な世論誘導はなぜ起きる??」

https://www.youtube.com/watch?v=f4lUTywSHao