「ツナマヨ民」という言葉が流行の兆しを見せている。

TBSが2022年1月1日に放送した「ジョブチューン~元日SP~」に登場したファミリーマートの「和風ツナマヨネーズ」おにぎりが発端。審査員シェフの1人が「見た目が悪い」と試食せず、ファミマの女性商品開発担当者が涙を流す、といったシーンがあった。これに怒った人たちがシェフの店のクチコミを荒らしまくり、店に無言電話のイヤガラセ、Twitterに悪口を書き込むなどの騒動を起こした。さらに、関係のない店にまで誹謗中傷が広がることになった。

見た目が悪く口にする気すら起きない

「ジョブチューン~元日SP~」にはファミリーマート、セブン―イレブン、ローソンの各商品開発担当者が出演し、一押し商品を1社8品、計24品を有名シェフが試食、「合格」「不合格」を決める企画があった。ファミマが出した1品は「和風ツナマヨネーズ」おにぎり。審査員の一人、イタリアンの奇才と評される小林幸司さん(63)は、試食もせずに「不合格」を出そうとした。理由はおにぎりの見た目が悪く口にする気すら起きない、というもの。ファミマの女性担当者は試食してほしいと懇願するが、知らん顔をする。とうとう女性担当者は泣き出してしまう。しょうがなく小林さんは一口食べて「不合格」を出した。ネットニュースやまとめサイトでこのことが報じられると、一部で「演出だとしても許せない!」と怒りが爆発、小林さんの軽井沢のお店「Fogliolina della Porta Fortuna」のクチコミや小林さんの評価を荒らしまくり、抗議や無言の電話をかけた。小林さんのTwitterには今回とは無関係のtweetに、こんな嫌がらせが押し寄せた。

「見た目は…不合格! 味も不合格!」

「不味そうです。食べる気がおこりませんね」

「ファミマのおにぎりのが美味そう」

「プロのシェフなのになぁ残念! ツナマヨ買いに行こう」

といった嫌がらせが押し寄せた。

状況の似る「暴徒化」もそう呼ばれる可能性

これに留まらず、ネットスラングで「誤爆」というが、名前が似ているという理由などから今回とは全く関係のない店にまで抗議の声が押し寄せることになった。番組公式Twitterは1月4日、事の事態を重く見て、

「この度の番組出演者、番組とは 無関係のお店に対してのSNSをはじめとする 誹謗・中傷、迷惑行為は お止め頂きたくお願い申し上げます」

と呼びかけた。この迷惑行為を行った人をネット上で「ツナマヨ民」と命名。従来も「ツナマヨ民」はあったが、これはツナマヨネーズおにぎりが好きな人を指していた。意味が変わってしまったわけだ。なぜこれほど「暴徒化」してしまったのか。背景には、大好きなツナマヨおにぎりをバカにされた、価値の無いものとされた、不合格を付けられたと、あたかも自分がそうされたかのような感情が湧き怒りが爆発したとされ、さらに、小林さんの店は有名な高級店であり、ツナマヨおにぎりの愛好家は口にできる代物ではないため、それに対する嫉妬と対抗心が顕在化した。それが「ツナマヨ民」だ。この言葉は流行語化する方向にあり、仮に対象がツナマヨおにぎりではなくても、状況が似ている(好きなものをバカにされた、など)ような「暴徒化」であれば、「ツナマヨ民」と呼ばれる可能性が出ている。

 

(リンク)

「ジョブチューン」公式Twitter

https://twitter.com/jobtune_TBS/status/1478305201605935106

小林シェフの「小林幸司の世界」Twitter

https://twitter.com/kobayashi_chef