大ヒット映画「新世紀エヴァンゲリオン」シリーズの碇シンジ役、「呪術廻戦 0」の乙骨憂太役などで知られる声優の緒方恵美さん(56)が、声優界もジェンダーフリーを進め「女優賞」「男優賞」を無くすべきだと主張した。

「第16回声優アワード」で主演女優賞を受賞した2022年3月5日に壇上で発言したもの。しかし、ネット上では反対の声が多い。反対の理由は、女性声優と男性声優ではファン層が違う、などの理由からだ。

声優はジェンダーフリーを発信しやすい?

「声優アワード」は、1年間に活躍した声優に贈られる賞。ちなみに主演男優賞は映画「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」で、ハサウェイ・ノアを演じた小野賢章さん(32)が受賞した。壇上に立った緒方さんは、自分は声優として7割は少年役で過ごしてきた。普段の生活でも、ほとんど女性と思って生活していない。声優の中にはカミングアウトしている人もいる。「そろそろではないでしょうか?」と、賞のジェンダーフリー化を提言した。顔を出す俳優よりもむしろ声優がジェンダーフリーを発信できる。

「次回からは、男とか女とかどうでもいいので、2人ずつとか、そのような感じになれば、よりいろいろなことになるのではないか」

と語った。実は、「主演女優賞」を辞退しようとも考えた。しかし、アニメを制作したスタッフの気持ちや、自分くらいの年齢の役者が主役を演じることは少ないことなどから、素直に受ける事にしたという。

どの役をやったかって話しではない

声優界から「女優賞」「男優賞」を無くそう、という緒方さんの発言に賛同する人は少ない。緒方さんは顔出しの俳優より声優のほうがジェンダーフリーを進めやすいとしているが、それとは全く逆の声優界ならではの事情がある。まず、少年役は女性声優の起用が圧倒的に多い。それは「少年の声が出せる女性の声」が求められているため。緒方さんもその一人だ。つまり男女を無くせば女性声優が賞レースで有利になり平等性が崩れる。そして、声優がアイドル化した現在、女性声優と男性声優のファン層は異なり、どちらか一方だとファンから不満が出てしまう。声優界としても男女に分ければ受賞者が増えるため、受賞チャンス、メディアや市場に対するアピール力が高まる、というのだ。ネットでは、

「どの役をやったかって話じゃないだろう」

「声質や演技の需要、方向性は男女で異なるのは当然なのにな」

「ピアノ奏者とバイオリン奏者を同じ音楽賞でまとめようとするくらいの暴論」

「それで全賞男が受賞したら差別だっていうんでしょ?知ってるよ」

などといったことが掲示板に書き込まれている。

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https://nnjnews.net/?p=4997

(リンク)

「第16回声優アワード」受賞者発表

https://www.seiyuawards.jp/winnin

g/winning_16/index.php