ファッション誌「nicola(ニコラ)」のせいで、丸顔で太っている自分がコンプレックスを感じ傷ついた。「見た目に優劣はなく、ありのままで美しい」と全国の子どもたちに発信せよ、という署名活動が始まっている。そして、1万5000以上もの賛同者を集めている。
ところが反発もあり、芸能人と一般人の容姿に優劣があるのは当然だし、体型は仕事のために努力をして作っている。「ありのままで美しい」は無理で、雑誌も洋服も売れなくなる、というものだ。
ダイエットができないコンプレックス
早稲田大学4年の和香子さん(22)が署名サイト「Change.org」に、容姿にコンプレックスを抱く子どもをこれ以上増やしたくない、と呼び掛けたのが3カ月前。宛先は新潮社の「ニコラ」編集長だった。女子中学生に一番読まれているファッション誌が「ニコラ」。モデルとして現在小6から高1まで大手芸能事務所に所属する26人が登録。和香子さんは元愛読者で、モデルに憧れ洋服を買ってもらった。ところが顔が丸く太っていたためモデルのようになれないと感じた。ダイエットもできなかった。だからダメ人間というコンプレックスをずっと持って生きてきた。
見た目に優劣はなく、ありのままで美しい
ところが大学3年の時に出会ったのが、見た目や体型の多様性を称賛する「ボディポジティブ」。大き目サイズモデルのInstagramを見て、「細くないと美しくないと思い込んでいたのは間違いだった」ことに気付いた。
「私の見た目がダメなのではなく、自分の見た目がダメだと思い込んでいただけだったのです!」
「ニコラ」では、細い=美しい、肌が白い=美しいとの見た目のメッセージが発信されている。それによってコンプレックスを抱き、摂食障害を起こす子供もいる。来年7月に創刊25周年を迎える雑誌「ニコラ」に、
「『見た目に優劣はなく、ありのままで美しい』と全国の子どもたちに発信することを求めます!」
とした。署名活動を行うにあたり「as I am」という団体を立ち上げたという。2021年12月11日までに1万5000以上の署名が集まっている。ところが、この主張に違和感を覚える人がかなりいるのだ。一番の疑問は、やせる努力ができない「ありのままの自分」と芸能人を、多様性を名目に同列に捉えていること。さらに、主張は構わないけれどもファッション誌というビジネスに介入しようとしている、ことだ。
現実問題、中肉中背や小デブに誰が憧れんねん
ファッション誌の存在意味は、洋服、アクセサリー、化粧品、グッズを紹介しその販売を促すこと。ファッションの意味は「流行」であり、現在の流行を紹介しさらに先取りをしてムーブメントを起こすのが使命である。それを彩るのがモデルで、モデルそのものがファッションでもある。人気モデルの確保はそのまま雑誌の売り上げ増に結び付き、その人気モデルには芸能界での様々な仕事のオファーが舞い込む。それがファッション誌なのに、自分と比較しコンプレックスに陥るのはどんな心境なのか。また、「ありのままで美しい」というのは、ダイエットどころか化粧もしないということか?ファッション誌は廃刊すべきということか?などといった疑問が出て、
「知らねーよ 編集者が売れる物作ってなにが悪いってか15000人の署名って 自分に自信のないデブスがそんなにいたのにびっくり」
「ありのままで美しい!て言う人はデブばっかりなんだよなぁ。細身の人がありのままで美しい!て言うと、炎上すると思う」
「だよね 現実問題、中肉中背や小デブに誰が憧れんねん。お金出して雑誌買うかい?って話だよね」
「ありのままでいいんだけど、美しくあるために努力してる人達を否定は出来ないよ 努力してんのに努力もしない人に文句言われたら嫌よね」
などといったことが掲示板に書き込まれている。また、「ニコラ」に言うのではなく、自分で起業して「ありのまま」のモデルを使ったファッション誌を発行したり、「ありのまま」のタレントを集めて芸能事務所を運営すればいい、というアドバイスも出ている。
(リンク)
署名サイト「Change.org」
東京新聞「やせて色白のモデルに傷つき…ティーン向けファッション誌は『ありのままで美しいと発信を』元愛読者らがネット署名」