集英社「週刊プレイボーイ」は6月7日、AI生成の「さつきあいデジタル写真集『生まれたて。』」の販売を終了すると発表した。

文化庁と内閣府を中心としたAI戦略チームが5月30日に議事資料「AIと著作権の関係等について」を公開。そこには、AIを利用して生成した画像について「類似性、依拠性あれば著作権法違反で刑事罰対象」とあった。

「さつきあい」は、同社が著作権を持つ写真でAI生成。そして「浅倉唯(現在の芸名は椛島光、26)にそっくり」と言われた。

問題点の検討が充分ではなかった

「週プレ」は、

「発売後よりたくさんのご意見を頂戴し、編集部内で改めて検証をいたしました。その結果、制作過程において、編集部で生成AIをとりまく様々な論点・問題点についての検討が十分ではなく、AI生成物の商品化については、世の中の議論の深まりを見据えつつ、より慎重に考えるべきであったと判断するにいたりました」

とし、「さつきあい」の写真集販売の終了を発表した。「週プレ」がさつきあいの公開と販売を告知したのが24号(5月29日発売)。文化庁と内閣府を中心としたAI戦略チームが見解を発表したのが30日。

浅倉唯は「週プレ」のグラビア作品

さつきあいは「週プレ」のグラビア未公開カット写真をAIに学習させた。写真の著作権は集英社にあるため、もしもの著作権侵害は考えられず、いわゆる違法の「アイコラ」(アイドルコラージュ)にも当たらない、というのが前提だった。ところが公開後「浅倉唯にそっくり」と話題になった。女優の浅倉さんは「週プレ」 2021年9月13日発売号でグラビアデビュー。12月20日発売(2022年 1月10日号)では水着で表紙を飾る。「週プレ」が選ぶグラビアのデジタルコンテンツランキング「グラジャパ! アワード2021」でグランプリに輝く。「週プレ」にとってグラビアの浅倉さんはオリジナル作品のようなもの。身長157cm、趣味がゲームと同じ。浅倉さんがイメージなのは明らかだ

「誰かにそっくり」と指摘された場合、、、

戦略チームが5月30日に公開したのは、15日実施の第3回会議の議事資料。現状のAI生成は、

「著作物に表現された思想又は感情の享受を目的としない利用行為は、原則として著作権者の許諾なく利用することが可能」

だった。それを今後はAI生成画像等を公開したり、複製物を販売する場合は、

「著作権法で利用が認められている場合を除き、通常の著作権侵害と同様」

とした。「利用が認められる」というのは個人的な鑑賞など。さらに、

「生成された画像等に既存の画像等との類似性や依拠性が認められれば、著作権者は著作権侵害として損害賠償請求・差止請求が可能であるほか、刑事罰の対象ともなる」

と加えた。自身が著作権を持つ写真をAIに学習させ、別なものを生成させた場合は分からないが、生成した人物が「誰かにそっくり」と指摘されたらどうなるのか。それが今回の結論のようだ。

 

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(リンク)

内閣府「AIと著作権の関係等について」

https://www8.cao.go.jp/cstp/ai/ai_team/3kai/shiryo.pdf

週刊週刊プレイボーイ「さつきあいデジタル写真集 『生まれたて。』販売終了のお知らせ」

https://www.grajapa.shueisha.co.jp/post/202306/

「さつきあい」公式Twitter

https://twitter.com/ai_satsuki_ai

週刊プレイボーイ「グラジャパ! アワード2021」

https://www.grajapa.shueisha.co.jp/campaign/award2021/