埼玉県が運営するプールで開催予定だった4団体の水着撮影会が直前に中止になった問題。大野元裕知事(59)は6月12日の定例記者会見で、管理する公益財団法人・埼玉県公園緑地協会に対し「中止要請の撤回を求めている」と語った。「主催者の違反が確認できなかった」ことを理由とした。
開催予定だった10日、11日は過ぎている。主催者への損害賠償は「協会が真摯に対応すると思う」とした。今回の問題、日本共産党の「暴走」と噂されている。大野知事は特定の政治団体の意見を聞くことは無い、としたが、それを信じる人はいない。
日本共産党の県委、県議の連名意見書
今回の騒動を整理すると、まず、日本共産党の女性県議会議員3人が6月6日、プールでの水着撮影会に未成年が出演する、「都市公園法第1条」(都市公園の健全な発達を図る)に反するなどとし、禁止するよう県に申し入れた。翌日の7日、日本共産党の県委員会、県議会議員団が連名で「女性の性を商品として扱う」ような団体に県有施設を貸し出すべきでは無い、との意見書を大野知事に提出。8日、協会は撮影会の中止を主催者に要請するとともに、今後一切水着撮影会用には貸し出さないと発表した。中止になったのは10日の「ミスヤングアニマル」(会場:しらこばと水上公園)、「フレッシュ撮影会」(川越水上公園)。11日の「はなまる撮影会」(同)。24日、25日の「近代麻雀水着祭」(しらこばと水上公園)。
大野知事と日本共産党はグル?
ややこしくしたのは大野知事のTwitterだ。知事は9日、
「主催者が許可条件に反する行為を行っていたことが判明した」
と、主催者に対し中止を求めた理由を説明。禁止は過激な露出やポーズ。一方、主催者はルールは順守する、と反発。開催の2日前という急な中止要請を批判した。ネットでは先の流れから、日本共産党の圧力があった、大野知事は同政党とグル、との憶測が流れた。大野知事はTwitterで11日、
「しらこばと公園の1者と川越水上公園の3者の(撮影会)中止要請を撤回すべき旨を指導しました」
とした。何がどうなっているのかよく分からない。それが12日の記者会見で説明された。
協会の報告を鵜呑みにしたツイート
まず、プールの運営管理は協会が主体。現場で何が行われているのかは分からない。協会から「中止を決めた」という報告そのままに9日、ツイートを行った。この時点での報告は、昨年12月に貸し出しをするための詳細な規約を策定。ところが、今回許可した中に違反した主催者が見つかった、というもの。それで「中止も致し方ない」となった。ところがその後、聞いていなかった情報(報道など)が入ってきたため、10日、協会に詳細な情報提供を求めた。そこで分かったのは、
「主催者はいずれも違反をしていない?」
「未成年出演禁止」のルールは無い
撮影会貸し出し用規約が存在したのは「しらこばと水上公園」のみ。「川越水上公園」には無かった。また、今回の4団体のうち1主催者が未成年の出演を予定していたが、「しらこばと」ですら「未成年の出演を禁じる」という貸し出し規約は無かった。主催者の違反というのは今回の6月開催以前のもの。つまり罰すれば法の不遡及(ほうのふそきゅう)、また、欠席裁判のような状態になる。大野知事は、
「違反が確認されなかったのに中止要請は適切ではない。『しらこば』開催の一者、『川越』開催の3者について中止要請を撤回するように(協会に)求めた」
とした。中止になった主催者への損害賠償は協会が真摯に行うだろうと語った。今後のプールを使った撮影会については、県営プール全体としてのルール作成と、専門家に助言を求めていくとした。今回のことについては、全て協会の責任だとし、県の及ばぬところだとした。今回の騒ぎ、どう見ても日本共産党が起こしたものと考えられるが、「特定の団体の意見に左右されることはない」とした。日本共産党と大野知事がグルなのかどうかは別にして、この説明には無理がある。
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(リンク)
埼玉県知事定例記者会見(2023年6月12日)
https://www.youtube.com/watch?v=3F4bslEwHf4
大野元裕埼玉県知事Twitter「違反が認められない者に対し中止させることは適切ではない」
https://twitter.com/oonomotohiro/status/1667879609499807746
日本共産党「県営公園における『水着撮影会』について」