経済評論家の上念司さん(51)が北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記の死亡説を撤回した。金総書記が生きているという反証可能性を失ってしまったのだという。

金総書記の死亡説を唱えたのはジャーナリストの篠原常一郎さん(61)がもっとも有名だが、それを受けネット番組「虎ノ門ニュース」や「ニュース女子」、そして自身のセミナーなどで声高に主張し最も目立っていたのが上念さんだった。

 

金与正氏も金平一氏にも権力移譲が進んでいない

 

上念さんは2021年4月15日に自身のYouTubeチャンネル「ニュースの虎側」を更新、

「金正恩死亡説は本日をもって撤回します。お詫びと訂正となぜそうなったか説明させていただきます」

をアップした。まず、死亡説を唱えた理由として2019年から金総書記が表に出る機会が激減し行方が分からない状態だったこと。それに合わせるように妹の金与正氏(キム・ヨジョン、32)に権力の移譲が行われようとしていたこと。金総書記の叔父で31年間も海外にいた金平一氏(キム・ピョンイル、66)が2019年11月頃に北朝鮮に呼び戻されたこと、を挙げた。この3つの出来事から立証責任を果たせると考えていた。しかしそれができなかった、とした。

まず、与正氏への権力移譲が進んでいないため死亡説の立証に「一敗」が付いた。平一氏に関しては与正氏のサポート役になると考えていたものの、サポートどころか現在は存在感がゼロの状態で、龍谷大学社会学部教授の李相哲さん(61)に聞いたところ人望も無いし軍も押さえていないと説明され、立証に「二敗目」が付いた。

 

金総書記は本物なのかニセモノかは分からない

 

金総書記に関しては、替え玉が噂され耳朶が異なるとか、替え玉でなくても過去の動画や写真を利用し存在を演出している、という議論があった。しかし、李教授は「本物だ」と言っている。高須クリニックの高須幹弥名古屋院院長(46)は「整形していない」と言っている。本物なのかニセモノなのか結論が出ないため「引き分け(イーブン)」とした。結果的に「2敗1分け」であり、「死亡説」を立証するためには少なくとも「2勝」しなければならない。だから金総書記が生きているという反証可能性を失ってしまった、とした。そして最後に、自分は過去に主張したことをそのまま有耶無耶にせず事実が判明すれば訂正するし、訂正が信頼につながる。上念さんはこう語った。

 

「篠原さんに乗ったことに全く触れていないのは?」

 

「間違っていることが判明してもね、頑強にその主張を続けて欲しいと願っている人は、私のフォロアーにはならないと思っているんで」

ちなみにジャーナリストの須田慎一郎さん(59)は篠原さんと対談するなどして死亡説を唱えた一人。ところが昨年の5月に死亡説は誤りだったと謝罪している。篠原さんはこの時、須田さんに対し「なぜいきなり手のひら返しするんだ」「私に何の断りも無かった」と批判。怒りの動画を公開した。それだけに今回の上念さんの動画のコメント欄には、

「篠原さんに乗っかったことが全く触れられてない。あれだけ散々『篠原さん篠原さん』って言ってたのにおかしくない?」

「篠原さんとは完全決別?」

「やはり大統領選以降篠原さんとは切れたのがハッキリしたな」

といった投稿も出ている。

 

(リンク)

「金正恩死亡説は本日をもって撤回します」上念司チャンネル

https://www.youtube.com/watch?v=D3X0o2_OvMI

 

須田慎一郎「なぜ金正恩『死亡説』に踊らされたのか?ご説明いたします」

https://www.youtube.com/watch?v=eccpqydfX6A