中国外務省の趙立堅報道官が2021年6月17日、記者会見で武漢の研究チームこそが新型コロナの遺伝情報を初めて解析し、世界に貢献している。「ノーベル医学生理学賞を受賞すべだ」と発言した。

この記者会見は中国でも大々的に報道され、国民は口々に武漢研究チームの功績を賞賛、アメリカ批判を続けた。ところが珍しく報道官の発言に反発が起きているのだ。それはノーベル賞のようなバカげた賞を研究チームに取らせるのは何事だ、というものだった。

武漢研究チームは世界に貢献、コロナを解析した

アメリカに続いてイギリスの情報機関も、新型コロナウイルスは中国の武漢ウイルス研究所から漏えいしたとの可能性を示すなか、趙立堅報道官は、すべてがデタラメだとした。研究所からの流出などWHO(世界保健機関)の報告を無視した科学者、科学的精神への冒とくであり、アメリカ側の一部の人間がでっち上げているものだとした。そもそも研究チームは世界で初めて新型コロナの遺伝子情報を解析、ワクチン製造を後押しするなど世界に貢献している。「ノーベル医学生理学賞を受賞すべだ」とした。このニュースに日本では開いた口がふさがらない人が続出、

「頭おかしすぎだろシナチク」

「まず各国への賠償金からだろwww」

などといった批判が渦巻いた。しかし、さすがは中国である。中国内の掲示板を検索すると、

「最初に発見して主導権を握ったのは私たちの医学者です。ウイルスは分析され、全世界に提供されます。この責任ある科学的精神は全人類から称賛されるべきです」

「中国の知識、責任、貢献がなければ、米国は600万人が死亡する可能性があります」

といった意見が展開されている。ところが珍しく、報道官による中国の見解に反発の声が少なからず出ている。それはノーベル賞についてだ。

ノーベル賞は西側諸国が内政干渉するためのツール

2000年代の中国人ノーベル賞受賞者といえば高行健さん(81)。1989年の天安門事件でフランスに政治亡命し1998年にフランス国籍を取得、2000年に文学賞を受賞したが中国国内での発表は殆どされず、著書は発禁となった(現在は一部で流通)。2010年に平和賞を受賞した劉暁波さん(享年61)は獄中で受け取り、2017年に服役中のまま死去した。こうしたこともあって、報道官のノーベル賞発言にはこんなことが書き込まれている。

「ノーベル賞は輝かしい功績を残した我が研究者にはふさわしくない」

「ノーベル賞を忘れて!この賞は長い間その当初の意図を裏切っており、西側諸国が他国の内政に干渉するためのツールになっています」

「ノーベル賞はかなり前に変質しました。両手から血を流し、肉切り包丁を振るったばかりのアメリカ大統領こそノーベル平和賞が受賞できるんです」

そして、

「武漢の研究チームは爆弾王(アルフレッド・ノーベル)より立派です」

「西側だけでなく発展途上国からの優秀な科学者を表彰するグローバルな取り組みをする必要があります」

とし、中国はノーベル賞に代わる国際的な賞を独自に確立するべきだとしている。

 

(リンク)

記事に使用した中国の掲示板「観察者網」

https://www.guancha.cn/politics/2021_06_17_594803.shtml