TBSドラマ「妻、小学生になる。」で吉田羊さん(48)演じる毒親の白石千嘉。リアルな演技に、怖すぎる、ホラーのようだ、との評価が目立った。ところが、2022年2月18日放送の第五話を境に「自分を見ているようだ」「うちの母親もそうだった」という感想が出るようになった。

演技やストーリーが変化したわけではない。劇中で毎田暖乃さん(10)演じる白石万理華(新島貴恵の生まれ変わり)が、毒親の千嘉は「自分の母親に似ている」と言ったからだ。

「いい加減にしてよ!邪魔なんだよ!!」

このドラマは堤真一さん(57)演じる新島圭介の10年前に死んだ妻が、小学生の万理華に突然生まれ変わり、圭介の家を訪ねるところから始まる。劇中では石田ゆり子さん(52)演じる圭介の死んだ妻、新島貴恵も登場し、万理華と交互に演技をしている。万理華にもともとあった記憶は曖昧な状態で、毒親のシングルマザー千嘉とアパートで暮らしている。

第五話は、千嘉が娘の万理華をアパート内で殴ろうとするシーンで始まり、圭介が止めに入る。万理華は靴を投げられアパートを追い出される。その後、アパートに戻った万理華が千嘉に話しかけると、狂ったように、

「うるさい!うるさい!!うるさい!!!」

と叫んだ。また、回想シーンでは、

「いい加減にしてよ!邪魔なんだよ!!」

「あんたがいなければ、、、あんたのせいで、私の人生メチャクチャなんだよ!!!」

「もう、消えてくんないかな」

と小学生の万理華に言葉を投げ付けた。

「ちゃんとした母親でいるのは私も無理」

千嘉を演じる吉田さんの演技の評価は高く、その鬼気迫る様子に「怖すぎる」「ホラーのようだ」「苦しくなる」という感想がこれまでは多かった。ところが第五話で、こんなシーンが出て来る。心配する圭介に対し万理華が

「慣れているから。あの人見ていると思い出すのよね。あの人、ちょっと私の母親に似てる」

と語る。そして圭介は、貴恵が実家に行くと言った日を思い出す。母親が夫婦喧嘩をして揉めている、心配だから見に行くというのだ。圭介が一緒に行こうかと尋ねると、

「いいわよめんどくさい。あの人と関わると面倒なことになるから」

と話すシーンだ。こうした流れから千嘉のような毒親は他にも存在する。これで親子が断絶するわけではなく「めんどくさくても」心配し会いに来てくれる子供がいる。これが分かりピンと張りつめたものが少しだけ氷解した。一部の人たちは胸に秘めていたことをカミングアウトし始めた。実は自分も千嘉のような経験があり、また千嘉のような母親に育てられた。ネットでは、

「あれみてマジ私やん思った…まだちゃんと母親してたときが懐かしいと思って」

「吉田羊のヒステリーってすごいリアルで怖いわ…うちの母親そっくり」

「マリカちゃんに消えろ!って言ってるの見て記憶がフラッシュバックした。好きなドラマだけど思い出されてキツい笑」

「吉田羊の演じてる母親は最低なんだけど 子供を育てるとかちゃんとした母親でいるって凄く難しいのかなって思う 私も無理だと思う」

などといったことが掲示板に書き込まれている。

 

(リンク)

TBSドラマ「妻、小学生になる。」公式HP

https://www.tbs.co.jp/tsuma_sho_tbs/