千羽鶴をロシアに送ろうーーーそんな声がネットで高まっている。きっかけになったのは岐阜県内の有志が戦争は絶対に許さない、との意思を込めた千羽鶴をウクライナ大使館に届ける活動をしているとの記事。ただし、東日本大震災の頃から被災地などに千羽鶴を送るのは迷惑行為だという認識が広まっている。それならばロシアに送ればいい、というのだ。
在日ウクライナ大使館に贈ろう、が発端
発端となったのは岐阜新聞が2022年3月6日に配信した「ウクライナに平和を 有志が岐阜市で反戦訴え、ネットで賛同広げる」という記事。世界で「ストップ・プーチン」の抗議運動が起きているため、自分たちもその意思を伝えようと思った。ウクライナ支持の一環として、運動の参加者が協力し国旗カラーの折り紙で鶴を折り、千羽鶴を完成させて在日ウクライナ大使館に送る予定、というもの。
ところが千羽鶴、東日本大震災をきっかけに「贈られた人にとって迷惑で厄介な代物」というイメージが付いているのだ。東日本大震災では町全体が瓦解したため、大量に千羽鶴が送られて来たのだが置き場が無かった。しかし心が込められているもののため、感謝しなければ酷い人間だと思われる。後にぞんざいに扱うことや、邪魔だからといって簡単に燃やすことも阻まれる。ネット上には古びた薄暗い倉庫に大量に積み上げられた千羽鶴の写真がアップされた。その後、災害が起きる度に千羽鶴論争が起きることになった。
「ルーブル紙幣で作るほうが面白いぞ」
2018年7月に起きた西日本豪雨でその疑惑がピークを迎える。支援物資が届き過ぎたと頭を抱えた倉敷市は、
「倉敷市では個人の方からの救援物資を受け付けていませんが、真備町川辺橋前に沢山の支援物資が置かれており、自衛隊の通行の妨げになり困っています。お気持ちは大変ありがたいのですが、支援物資を川辺橋前に置かないようお願いします」
とTwitterで呼びかけた。つまり、緊急時に必要なのは寄付や冷凍食品や生もの、素材ではなく直ぐに食べられる食糧、そして状況に合わせた物資だ。倉敷市に千羽鶴が届いたのかは分からないが、そのような「心のこもった応援」は何の役にも立たないばかりか、かえって邪魔であり迷惑だ、「自意識過剰の詰まったゴミ」という理解まで出た。現在、緊急時に送っていけないのは「千羽鶴」「応援メッセージや寄せ書き」「古すぎたり洗濯をしていない衣料、毛布」「自分で食料を確保できないボランティア」などと言われている。ネットでは、千羽鶴が迷惑で厄介者ならウクライナ大使館を困らせるだけ。それならロシアに千羽鶴を送るのはどうなのか、といった議論が盛り上がっていて、
「むしろロシアに送れよ嫌がらせになる」
「ロシアに千羽鶴と寄せ書きと辛いラーメン送ればいいじゃん」
「抗議の意味を込めてロシアに送ってやれよ。ウクライナには必要な物や金を送ってやれよ」
「ルーブル紙幣で作ってロシアに送るほうが面白いぞ」
「ロシア大使館の周りを千羽鶴でいっぱいにしたらええねん」
などといったことが掲示板に書き込まれている。
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(リンク)
岐阜新聞「ウクライナに平和を 有志が岐阜市で反戦訴え、ネットで賛同広げる」