橋下徹氏(52)に謝罪要求が殺到している。在日ウクライナ人で政治評論家のナザレンコ・アンドリーさん(27)がTwitterで、北海道に向かうと報告したところ、橋下さんはレジャーに行くものと決めつけ「戦地で悲惨な生活をしている市民のことを考えろ!」などと激しく叱責した。
ところがナザレンコさん、北海道の自衛隊駐屯地に招かれていた。講演をし、ロシアに関する意見交換をするという「仕事」だったのだ。
ナザレンコさんは「情報戦」をしている
ナザレンコさんは2022年3月3日、母国に戻り義勇兵になると大使館に直訴している。きっかけは70人の日本人が義勇兵に志願した事。日本人が行くなら自分もこのままではいられない。日本語が話せるため、義勇兵と軍との橋渡しができないか考えた。ナザレンコさんに対し大使館は、日本人義勇兵を採用しないことを告げた。ナザレンコさんの義勇兵志願も、軍隊経験が無ため足手纏いだと断った。一方で、戦争は「情報戦」でもあり、情報を発信するなど日本でできることはあると説得される。それで帰国は無くなった。
そんなナザレンコさん、3月24日にTwitterで、
「8年ぶりに本州を出ました。北海道なう。人生初めて」
と投稿した。行き先を書かなかったのは理由があったからなのだろう。それを橋下氏は「北海道」だけに反応したのか、何の証拠もなくレジャーに行くと決めつけた。
代弁できるのはウクライナ人のあなた?
橋下氏は25日、Twitterでナザレンコさん批判を執拗に連投した。
「あなたは日本にいる限り奴隷になることはない。こうして北海道を楽しめる。他方、マリウポリのウクライナ市民、その他戦地で悲惨な生活をしている市民はどう考えているのか」
から始まり、「あなたの主張は戦地の戦闘員が言うなら納得できる」など長々と続く。ナザレンコさんの主張というのは、ロシアの侵攻に徹底抗戦すること。橋下氏は「一般市民の視点で発言して欲しい」「代弁できるのは、ウクライナ人であるあなた」と叱責し、
「あなたがいくら立派なことを主張しても全く説得力がなくなる。戦地のウクライナ一般市民のことを思って行動するよう願っています」
「あなたはもう有名人です。北海道ではSNSの写真に気を付けてください」
と結んだ。しかし、ナザレンコさんが向かった先は、北海道の自衛隊駐屯地。ウクライナ大使館から後方支援として任された「情報戦」の仕事である。
「僕の考えた正しい当事者論」は要らない
ナザレンコさんは橋下氏のトンデモ「攻撃」に、自身のTwitterで同日、
「北海道の自衛隊駐屯地で講演させていただき、意見交換いたしました。北海道だと仮想敵国が共通のはずなので、大変有意義な時間になりました」
と投稿。自衛隊員らと一緒の現場写真も公開した。それからついにナザレンコさんの怒りが爆発。以下のようなtweetをすることになる。
橋下氏はウクライナ市民の目線で語っているようだが、実際に何人のウクライナ人と話したことがあるのか?自分の家族はハリコフ州にいる。戦闘員の仲間も、非戦闘員の仲間もいる。国家機関とも相談している。橋下氏のような部外者に「こうしろ」と言われる筋合ない。そして、
「戦時を体験したこともなければ現地の人と話したこともない弁護士にはわからないかもだけど、近くに砲弾の雨が降る中でも、子供が遊んで笑うし、人は誕生日も祝うし、結婚式もあげるし、犬と散歩したり音楽を楽しんだりもする。人は辛い時こそ幸せを感じたいもの。『僕の考えた正しい当事者論』要らない」
とした。
この一連のやり取りにネットでは、橋本氏に対しナザレンコさんに謝罪するよう夥しい数の批判の声が噴出している。しかし、3月27日18時現在、橋本氏の謝罪は見当たらない。
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(リンク)
橋下徹氏Twitter
https://twitter.com/hashimoto_lo/stat
ナザレンコ・アンドリーさんTwitter