北海道知床半島の沖合で乗客乗員26人が乗った観光船「KAZU I(カズワン)」が消息を絶った事故。運航会社「知床遊覧船」の桂田精一社長(58)が、今度は遭難の原因をクジラとの衝突だと説明した、との報道が流れ、唖然とする人が続出している。
27日の記者会見では豊田徳幸船長(54)に責任を押し付けるような内容だった。それに大きな批判が起きたため、今度は可能性の極めて低いクジラとの衝突に移した、と受け止めた人が多い。
北新「裏付けないまま運航判断を正当化」
これは北海道新聞が2022年4月30日に報じたもの。桂田社長はLINEを使い経営する宿泊施設の従業員に29日、遭難事故について説明した。事故があった23日の気象データを使い、観光船が予定通りの時間に戻っていれば海は荒れていなかった、と説明した。しかし、桂田社長の示したデータは午後0時のもの。観光船が到着する予定時刻は午後1時。午後1時の段階で波の高さは運航基準を超えているのは確実。北新は「運航判断を正当化しているとも取れる」と批判した。さらに、桂田社長は関係者とのやりとりで、観光船は水深の深い所を通って戻ってくるため、座礁ないはずだとし、
「ただ、クジラに当たったり、突き上げられると穴が空く可能性はある」
と語った。
「確たる裏付けがないまま、事故原因は高波や座礁ではなく、動物との衝突と主張していたという」
と記事は結んでいる。
「クジラと衝突するのは高速船」
ネットではこの記事によってちょっとした騒動が起きた。先の記者会見では「自分の判断が間違っていた」「自分に責任がある」とは言ったが、全体では「自分に落ち度はなく、全て豊田船長のせい」と取れる発言を繰り返した。また、「乗船客のせい」と取れる発言もあった。海が荒れるようであれば引き返す「条件付きの運航」で出航したわけで、従来なら乗船客が「揺れに耐えられないから引き返せ!と言ってくるから戻って来た」と語った事だ。さすがに乗客のせいでは話にならず、豊田船長の責任にしたことで批判を浴び、「今度はクジラのせいにし始めた」、という批判によるものだ。掲示板には、
「流石にクジラに責任擦りつけるのは予想の斜め上やったわ」
「クジラなら無線がつながった時にまずそれ言うよね」
「クジラと衝突して船体が破損する事故はその殆どが高速船ね ジェットフォイルとかさ」
「それが本当ならもう観光船出しても誰も行かねーよ 他の会社が再開してももう客は誰も来ないだろうな」
といった事が書き込まれている。
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(リンク)
北海道新聞「桂田社長、沈没は『クジラの可能性』知床の観光船事故」