ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)。米マイアミ「ローンデポ・パーク」現地時間3月20日(日本時間は21日)、準決勝の日本対メキシコが行なわれ、日本は6-5の劇的逆転勝利を収めた、のだが、スポーツニッポンは「メキシコが初の決勝進出!侍Jに1点差で逃げ切り勝ち」と、大誤報速報を配信した。

新聞社にはどの社が一番先に報じるのか、宿命的競争がある。それに備え、何種類もの「予定稿」と呼ばれる原稿が用意される。スポニチはそれを選び間違えてネット配信した。ただし、記事を読めば試合経過は知っている。いったいどんな「妄想」があったのか。

9回表までの経過を知っている

試合の流れはこんな具合だ。4回表にメキシコはルイス・ウリアス(ブルワーズ)が2死一、二塁で先発の佐々木朗希(ロッテ)の抜けたフォークを左翼席に先制3ラン。日本は7回裏、吉田正尚(レッドソックス)の3ランで同点。8回表メキシコはアレックス・バードゥーゴ(レッドソックス)が2塁打を放ち1点勝ち越し。イサーク・パレデス(レイズ)が左前適時打で2点差を付けた。8回裏、日本は代打の山川穂高(ライオンズ)のレフトへの犠飛で4-5の1点差に。9回表のメキシコは得点なし。スポニチの記者は、この時点までの試合経過を知っていた。そこから「妄想」の予定稿が出された。

メキシコが主語?「初の決勝進出」

スポニチの見出しは、

「メキシコが初の決勝進出!侍Jに1点差で逃げ切り勝ち 同点3ラン被弾直後にバードゥーゴが決勝打」

となっていた。それでは日本の9回裏の攻撃はどのように「妄想」されたのか。

「(メキシコは)5-3の8回にも4番手・デュランが山川に犠飛を許し、1点差に迫られたが、9回は3番・大谷から始まる主軸を守護神・ガエゴスが封じ、逃げ切った」

またこの記事、日本ではなくメキシコが主語になっていることも気になる。ただし、写真は村上の9回裏のバッティングを使っていて、「<メキシコ・日本>9回、サヨナラ打を放つ村上(撮影・会津 智海) Photo By スポニチ」との説明が付いている。

「そりゃあ毎日新聞系列だもん」

実際の試合は9回裏の日本、大谷翔平(エンゼルス)が2塁打。吉田が四球を選び無死1、2塁。そこに登場したのが村上宗隆(ヤクルト)。令和初の三冠王で、「世界の王」を超える56本塁打を放った男。しかし村上は今大会絶不調。メキシコ戦もランナーのいるチャンスに3連続三振。通算20打数4安打11三振、打率2割。「村上様」の影もない。重い空気が流れるなか、村上は真ん中に入る3球目のストレートを迷いなく振り抜いた。鋭い打球はセンター後方のフェンスに直撃。劇的な逆転サヨナラツーベース。3大会ぶりの決勝進出を決めるヒーローとなった。そしてここで、スポニチの大誤報速報が出たのだ。

いくら予定原稿とはいえ、9回裏は3番の大谷から始まる、日本の強力クリーンナップ打線だ。何も起きずにメキシコがそのまま逃げ切る、そんな「妄想」をスポーツ専門記者がするものだろうか?ネットではあまりのトンデモ誤報に呆れるというより茫然とする人が続出している。今回の大誤報について、

「日本負けろ!って願望がつい出ちゃったか・・・」

「願望漏れてて草」

「売国新聞スポニチ」

「そりゃ反日の毎日新聞系列だもん 日本負けって記事を書きたかったんだよw」

などといったことが掲示板に書き込まれている。記事をチェックする担当者はどうしていたのか?単純な予定稿の選び間違いではないのではないか、という人もいる。それほどトンデモな大誤報だった。

 

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(リンク)

スポニチ「メキシコが初の決勝進出!侍Jに1点差で逃げ切り勝ち 同点3ラン被弾直後にバードゥーゴが決勝打」のキャッシュ

http://web.archive.org/web/20230321030847/

https://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2023/

03/21/kiji/20230321s00001004346000c.html