人気アニメ「ご注文はうさぎですか?」の展示会中止を求める脅迫文が届いている。展示会が開かれるのは名古屋市だが、同市とは離れた自治体に数多く送られている。
内容はとんでもないもの。中止しなければ「子ども334人を誘拐する」「高性能な爆弾を仕掛ける」「人間爆弾を特攻させる」「塩化シアンをばら撒く」。ただし、アニメや掲示板「２ちゃんねる」の「なんJ（なんでも実況J）」を知っている人にはピンときたようで、「犯人は40代の無職」といった感想が出ている。
子ども334人を誘拐し人間爆弾に使う
脅迫文は、名古屋市内で2022年7月16日から開催される同作品マンガ連載（芳文社）10周年を記念した「ご注文はうさぎですか？展 Café Lumière」(カフェ・ルミエール)のイベント中止を求めている。そこには、
「中止にならなければ、展覧会会場に塩化シアンをばら撒きに特攻する。7月16日に貴様のとこの市内の子ども334人を誘拐し、高性能な爆弾を仕掛け、その人間爆弾を公共交通機関や商業施設などの人が集まりそうな場所に特攻させる。役所と施設に自動ホスゲン散布機を設置しておいた」
と書かれている。まず、「ごちうさ」ファンが気になったのは「334」という数字。アニメ主人公・ココアの特技が「阪神算」。これは、3、3、4の数字を組み合わせる計算。そしてここからプロ野球の阪神に連想が飛ぶ。「334」「33-4」。これは、2005年の日本シリーズ「阪神VSロッテ」の4試合合計得点数「33対4」。阪神が信じられない負け方をしたため、阪神をバカにするために用いられ、やがて「絶望的な状況」に使われるようになった。「2ちゃん」発祥のもの。さらに脅迫文全体がハセカラ民（恒心教徒）語録を使った、「爆破予告メール」ソックリだという。ハセカラ騒動は唐澤貴洋弁護士（44）を巡り2012年頃から激しさを増した。
懐かしい「チャー研」「ハセカラ語録」
ハセカラ民の連続爆破予告。それは恒心教徒「ださいたま」氏によって2016年2月に行われた。その一部はこんな文章だ。
「今回はガチで爆破しますを。当職は高性能な爆薬を入手したナリ。栃木市役所の施設内複数個所に高性能な爆弾を仕掛けさせていただきましたを」
これが全国50あまりの市役所等行政に送られた。この「ハセカラ語録」、当時の「２ちゃん」で爆発的に盛り上がった。また、今回の脅迫文、アニメ繋がりから「人間爆弾」というのはアニメ「無敵超人ザンボット3」(1977年～1978年)、「氷河戦士ガイスラッガー」(1977年)、「チャージマン研！」などに登場し、さらに「チャー研」は1974年の制作ながら2012年頃から、そのナンセンス性で「なんJ」「ニコニコ動画」を中心に、ブームさながらに持て囃された。塩化シアンの「シアン」はアニメ「SHOW BY ROCK！！」(キャラクターの公式デビューは2012年)の登場人物の名前だとの指摘があるが、これはあまりよく分かっていない。こうしたことから、今回の脅迫文騒動は、アニメ、そして「なんJ」に詳しい悪質な愉快犯という見立てがネット上に出ている。そして、ハセカラ民騒動を真似ていていることから、2012年頃からの流れを知っているとすれば、
「40代無職てとこか」
「犯人は無職ハゲデブだな」
「無職の男性（41）とかが逮捕されたら泣ける」
「どうせ口先だけの無職クズだからほっとけばええやん」
などといった感想が掲示板に書き込まれている。
ちなみに、脅迫文が届き、それを発表した市町村は、名古屋市、埼玉県秩父市、千葉県館山市、鳥取県境港市、宮城県仙台市、茨木県鹿嶋市、青森県野辺地町、茨木県笠間市、山梨県韮崎市、青森県十和田市、鳥取県鳥取市、高知県高知市、長野県諏訪市など（順不同）となっている。
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（リンク）
鳥取県境港市公式HP「本市への脅迫文について」